FUJI Work Record & Same kinds
カメラには一般撮影用とは別に、工事カメラ、現場カメラというジャンルがある。富士のHDシリーズ、コニカの現場監督
シリーズがフイルムカメラでは有名で、多くの現場で使われてきた。
これら、黙々と働き続けた現場のフイルムカメラたちが、最近は叩き売られている。提出書類に添付する記録映像が、
フイルム提出からデジタル提出に移行(デジタルでも良いと認められた)からコストと手間削減のために減価償却が
済んだものからどんどん処分されるようになったのだ。
この写真はまとめてヤフオクに出ていたもの。現場監督35が二台で300円、その他は九台まとめて1000円でスタートし、
どちらも私の他に札を入れなかったのでそのまま落ちた。送料や手数料をまとめても全部で4000円弱・・・
今回はその中で過去に報告していなかった富士のワークレコードを中心に報告する。
全て泥やペイントなど盛大についているので、ストラップを外してどちらも洗剤とぬるま湯でブラシ洗いした。
カメラの洗濯中は写していなかったが似たような作業だ。積年の汚れが取れて、部屋に入れても良さそうになった。
《FUJI Work Record》
ワークレコード4台中3台は電池を入れると動いた。電源表示はするが動かない奴の後カバーを外してみた。
矢印のところが電源スイッチで、ここを清掃すると起動しかけたが、フラッシュのチャージ中表示が出たままになる。
その状態でもフラッシュがいらない明るい被写体は撮影できる。しかし、常にチャージ回路が動作していては電池が
すぐに空になってしまう。おそらくコンデンサの交換で直るだろうが、私はフラッシュ自体を使いたくない。使わないのに
電撃を喰らうなど真っ平だ。この個体はジャンク・部品用として保管する
☆この手のカメラは電源を入れると周りの明るさとは無関係にフラッシュをチャージする。その後撮影可能になる。この間
でもシャッターを押せるタイプと押せないタイプがある。頻繁に使っていればあまりストレスは無いが、しばらく使って
いないとイライラさせられる。また、フラッシュが故障でチャージされないとチャージ回路は作動したままになり、電力を
浪費してしまう。コンパクトカメラに良くある仕様だが、明示的にオン・オフできる旧タイプの方がこの点では使いやすい。
フジノン28o。おそらく工事カメラK-28と同じレンズだろう。したがって画質が期待できる。ワークレコードはフジの
35oコンパクトカメラ共通仕様で、フイルムを入れるとエンドまで巻上げ、一枚写すごとに巻き戻す。撮影中に万が一
フタを開けてしまった場合でも、犠牲は1ー2枚で、それ以前のものは救われるからフェイルセーフとしては優れている。
ただし、ネガの順序が普通のカメラと反対になるのでスキャンや焼く場合にちょっと不便だ。
黒丸のところには「USE DURING CONSTRUCTION」と書いてある。「工事中に使いなさい」か。
ボタン類は上から、電源・フラッシュ・セルフタイマー・遠景に焦点固定のコントロール。
《現場監督35WB》
名機、現場監督35。これらは完全動作品
一台だけ電源が入らないので中身を取り出した。ウラブタ周りを外すと数本のネジで固定されているだけで、簡単に
取り出せる。
この状態で電撃に注意しながら電池を仮に固定し、金属でショートさせると起動した。この状態でマイクロスイッチを
押すと、測距・撮影動作をちゃんとするが、本体に組み込むと作動しない。導電ゴムの劣化が原因だ。
結局、アルミシートを導電ゴムの上に貼り付けることで解決した。上手く動作してうれしかったのでそのまま組んで
しまったので記録はない。
《現場監督 初代》
初代も二台含まれていた。どちらも動作はするのだが、一台は硬化したシャッターボタンのゴムカバーが切れている。
このままでは使いにくいし防水性はゼロになってしまう。
切れかけたところを切り離してセンターの押し軸のみにし、その上から自転車チューブを少し大きめに切り抜いて貼る
シリコンゴム接着剤でしっかり張りなおしたから、押すのが軽くなって防水性はそこそこ回復した
《現場監督DG-2》
現場監督のデジタル版、これは200万画素の2型。スタイル的には現場監督の血筋そのもの。無理に未来的だが。
私のレストア報告でこれはデジタルカメラの第一号だがおそらく最後でもある。道具としてのデジタルカメラに偏見はない。
レストアの記録と孫の写真は全てデジタルだ。フイルム写真もスキャンし、デジタル処理しているのだからさして変わる
物ではない。しかし、私の報告はフイルムカメラの救出記録と言う側面もあるので、デジタルについては一切触れて来なかった。
今回が例外なのはコニカであること、デジタルと言えど現場監督だから。消えたメーカーへの鎮魂歌かもしれない。
ヘキサノン5.8o2.8、小さなレンズだ。
画質は三段切り替え。珍しくアクセサリシューが付いている
小さなモニターでライブビューでも一応写せる。ただし小さく画質が悪いのであまり便利ではない。ボタン類の反応は
非常に鈍い
電池は単三タイプ4本で、意外に長持ちする
USBコネクタと外部電源のターミナル
メディアはコンパクトフラッシュだから困る事はない
《試写》
今回整備した全機種がDXコードで感度設定するので、シャッター速度を稼ぐために400のプレストにて実施。ただし
唯一のデジタルの現場監督DG-2(200万画素)はスーパーファイン(笑)にて撮影し、サイズを1000ピクセル(jpg)に
リサイズした。現場監督初代は試写に間に合わなかったので割愛
「Work Record」
「現場監督35WB」
「現場監督DG-2」
☆私がこれらのカメラを推す理由はこの結果に出ている。比較で言えば全体に鋭いワークレコードと、同等の解像度で
暗いところの描写が多少強い現場監督35か。28oと35oなので同列比較はしにくいが、急ぎならどちらを持ち出しても
公開はしないだろう。
デジタルのこの世代は、結果はともかくピント合わせも書き込みもレビューも全てが遅くてスナップでは使いにくい。
今のものは改良されているから、完成されたフイルム機と同列比較は無理か。しかし、急ぎでなければ立派に使える。
この手のカメラ、見つけたら保護してやってください。使う価値がありますから。>各位
February 2014