YASHICAFLEX A2

 こちらも現像の権威である爺さん様から拝領した一台、 ヤシカフレックスA2、平均的な機種である。



 前回のDと並んで俎上に。





 こちらはダメージがいろいろある。主な異常は、フォーカシング系の動きがおかしい。ファインダーフードが外れ ている、など。まあ古い二眼レフの故障は一通り揃っている感じ。特に難しいものでは無い。ファイダー自体は フレネルレンズが無くて暗いが、ピントの山がつかみやすくて意外に良く見える。



 先ずはフォーカス部分を分解。



 矢印の軸にはスプリングが入っていて、バックラッシュを消すのだが、完全に油切れで動きが悪い。



 勾玉カム部を分解してグリスアップし、各部のガタを減らした。動きがだいぶ良くなった。



 逆側も同様に整備。レンズの繰り出し時は良いが、戻す時に片側が遅れる。レンズの前進は勾玉カムが前板支えを 直接押す。レンズを引っ込める時はカムの後ろ側がスプリングを介して押す。スプリングはバックラッシュを消すため で、このカメラはこの部分の動きが悪いのだ。遅れはそれ程でもなく、ピントグラスで見ている時には気がつかず 皮を貼った後に気がついた。そんなわけで完璧では無いが、何とか使えるレベルになった。



 手持ちの皮を貼る。型紙式だと面倒なので、貼ってから切り込む方法。



 フレックスと言いながらカウンターではなく赤窓式。原始的だが今となっては簡便確実。撮影したらすぐに巻上げ、 次の撮影ではシャッターセットのみ行うというのがリズムが良くてトラブルが少ない。



 ヤシマー75o3.5。当然ながらレンズとシッャターは分解清掃し、皮は張替え、ミラーは交換している。











《試写》

 プレストにて実施。快晴







 逆光で絞りを開くとコントラストが多少低下するが、周辺の暴れは少なく実用レベル。意外にボケが良い。 この時代の二眼レフの標準的な描写だろう。三枚目は4.0まで開いているが、ボケは素直で良い。

☆前回のDと同様の操作だが、こちらは赤窓なので即写性は少し劣る。それ以外の大きな差は無い。結果は期待を 裏切らずきちんとしていた。絞れば周辺までしっかり出る。

 ピント範囲は薄いが合焦部はきちんとしている。バッフルを装備していないのに内面反射が少ない。バッフルを 自作し、フードを併用すればより良い結果が期待できる。もちろんこのままでの実用に不満は無い。

 独立してそこだけの整備で使えるレンズバレル部、カウンターは赤窓と壊れるところがごく少ない。故障しても 外観はともかく機械部分は直せる。ガラス類のメンテナンスとシャッターの清掃と給油だけで、きっと100年後にも使える だろう。フイルムで写す機械式カメラとは息の長い道具なのだ。デジタル機器は買って数年後には陳腐化し、20年後には たとえ動いてもメディアを読み出す機械があるとは限らない。故障したら「部品が無い」でそれまで。デジタルは 儚い家電製品だ。

☆今回は実施していないが、以前のテストでは 素直なリバーサルの発色を 見ている。今回の二機種(A2,D)も同様に期待できる。


 いろいろレストアを楽しめます。ありがとうございました>爺さん様

September 2014


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