WISTA 45SP



 「これを使え」と、かつて私の猫=ももが死んだ時にお悔やみでネオカVSを贈ってくれた 関東のSさんから命令があった。 命令というより依頼ではあるが。

 ウイスタ45は「武蔵野製作所」「武蔵野光機」「リトレック販売」と変遷し、現在はウイスタの製品である。4×5 フィールドカメラ、リトレックビューなど主に大判カメラを作ってきたウイスタの製品で、数少ない現行カメラである。

 Sさんは御友人関係で急逝された方の愛機を引き取ったが、このカメラを扱う体力が無く、私に白羽の矢をたてた との事。わざわざ私の町まで大量の機材を運んで下さったというのが事の起こりである。




 何とも豪華なセットである。4×5を始めたければフイルムさえ買い込めば済むという至れり尽くせりの品揃え。

 本体・レンズ(105から300まで四本)・フイルムバックいろいろ(4×5国際規格・クイックロード・69セット) ・ジッツォの32φ-3段三脚・露出計(スタデラ)・ホースマンのルーペ・レリーズ他ショートパーツ一式・冠布と 大型ダークバッグ・その他ショートパーツ・説明書一式。これらが大型アルミトランクごと到来した。

 ほとんど新品カメラに恐縮しつつ、これで何を写せば良いのか、ちょっと不安になった。



フィールド用のテクニカルカメラで、ピントグラス専用だから距離計はない。



 バック部とフタの間に支柱がない。邪魔が無いから開閉は極めて簡単。先代のリトレックビューとは大違い。 現場でのセッティングはワンタッチでできる。



 片側にグリップがあるが、手持ちでは使えないからあまり意味がない



 4×5の国際規格のバックを取り付けた状態。ピントフードがあるので、室内や急ぎの時は冠布無しでも写せる。 全体を見渡しにくいから外では冠布を使う方が良い



 蛇腹は三段伸ばし。ベッド部が簡単に前後する。ぎりぎり望遠の300oが使える



 アオリ。フロントはライズ・フォール、スイング、ティルト、シフトとフルモーション。後はティルトとその他の 微調整がノブでできる。フィールド用としては全く不足はない



 システムカメラだからいろいろ分解できる。バックは69用など多彩に用意されている。105oはつけたまま畳める

《試写》



 試写は4×5のモノクロ、69のモノクロ、ポラと全部テストしてみた。全部持ち歩くのはアシスタントなしでは 無理なので、ご覧の通りに整理して実行。これでも10kは楽に越えるから、筋トレ・修行である・笑

 69・プレスト・250o・105o









 三枚目を写していた時のメイキング画像(フジカドライブにて)

 ポラロイド(FP100C45 B/W Color)250o・105o









 4×5・アクロス・300mm,105mm





 それぞれフイルムの特性が感じられる。ポラは微妙にホルダーのピントが出ていなくて甘い。ポラ以外は アンシャープマスクを一切使っていない。

☆4×5でシステムカメラだから、結果は使うレンズで全てが決まる。その通りだがそこに至る経過はカメラの 使い易さとカメラマンの技術に大きく依存する。極論すればレンズは150ー180ミリ一本、現代ものなら何でも 良い。使いこなしでほとんど解決するから。

 このカメラは操作が軽くてわかりやすく、三脚を据えてファーストカットを切るまでの時間がとても短い。周りの 条件が千差万別のフィールド撮影でこのわかりやすさは結果に大きく影響する。今回のテストの中で、画面が小さく なってしまうのを除けば、69のスライド式ホルダーがベスト、4×5とポラは挿入時にセットがずれてしまうような こともなくスムーズだった。


☆ありがとうございました。大事に実用いたします>関東のSさん


November 2014


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