MINOLTA HI-MATIC 7 (2)


連続してハイマチック7を報告する。普通のレポートは一機種一回、特に気に入ったもの や特別なノウハウなどを含む場合でもしばらく間を置いてというペースだったが、今回は「記憶が消えないうち・笑」と いうことで連続する。



 これは神奈川県在住のMiyaさんから点検整備を依頼されたもの。ベルトは欠けているが、きちんとしたケースに入った 一見はきれいな個体だ。フイルムを入れて巻き上げたところ、途中から重くなってスタックしたとの事。



 フイルムが入っているので、ダークバッグで手探りしたら、「正規位置に巻き上がっていない」と感じた。ギアを 感じられないほどスプロケット軸に巻きついて、千切れる寸前まで引いたがびくともしない。こうなったら外す過程で フイルムに傷が入り、たとえ外せても実用にならないのは目に見えている。

 フイルムはあきらめて開いたのがこの図。見事に巻きついている。この状態でも手では外れない。



 カッターでギアに傷がつかない程度に切り、中側の数枚をペンチで引き抜いたらやっと外れた。これほど見事な 巻きつきは見た事が無い。フイルムのエンドから見て、正規位置に入れたが最初の一回転でスプロケットの歯に パーフォレーションが引っかかり、巻き込まれてしまったと判断した。レアなスタックではある。

 この後に点検すると、巻上げは極めてスムーズでシャッターセットなども問題ない。基本的な写す機能は 生きていると確認。



 視界不良なので軍艦部を開いてみた。残念ながらハーフミラーの蒸着が痛んでいた。軽く拭っただけであっさり 反射膜が消えた。これは使えないので、切り出すのは後にして、手持ちのものから移植した。手持ちは後で修復 するので問題ない。



 経過写真は写さなかったが、このハーフミラー交換は非常に面倒だ。入れた当初に反射部が一応見えれば良い方で、 像がとんでもないところにかすかに見えるのが相場だ。この場合、できる限り正規位置にハーフミラーを固定して、 後の調整は上下・左右調整部で行うのが基本だ。言うほど簡単ではないが、まあ何とか実用程度に調整して完了。



 ほとんど無傷だが、レンズ枠上部に一箇所だけ小さくぶつけていて、フィルター枠が曲がっていた。これが曲者で 一応目立たない程度に修復したが、フィルター枠を止めているリングが緩まない。無理を必要とするコンディション ではないので、ここを分解するのはあきらめた。ひどい汚れやカビは無いし、シャッターが快調に動いているから 今回は力技は避けた。(自分のものなら傷だらけでも構わないから作業するが・笑)



 塗装やメッキはきれいだ。ピント調整はアクセサリーシューのカバー外すと大きめの点検口があり、そこから行う。 ただし、調整ネジは極めて固く、上下は効きにくいので、上下はハーフミラーでほぼ合わせて置くのが基本か



 蝶番のところのモルトはほとんど失われていたので、遮光紙で修復。フイルムゲートが錆びているので、平面を 損なわない程度に研磨して滑らかにした。わずかだが巻上げトルクが軽くなるし傷も減るはず



《試写》

 ショートサイズのアクロスを切り出して(まだしつこく長巻を持っているので)実施。全てA位置にして露出は 逆光補正など一切せず、完全にカメラ任せた。







 微妙な炎やタイルの描写など、特に問題なし。ごくわずかフレアを感じたので、点検したところ前玉裏にかすかに カビ跡のような汚れがあるのと、後玉表面が汚れているためと判断した。後玉は清掃したが、前玉は今回は触らず。 今後、問題があれば改めて前玉を外して対処すべきか。ネガカラーでは問題を感じる事は無いだろう。

☆露出計は良い値を出す。一般撮影で手動調整はほとんど必要ないだろう。巻き上げてアバウトでピントを出せば 良いという当時のファミリーカメラの基本を作ったカメラと感じる。もちろん、1/4秒までスローがあるから マニュアルでも機能に不足は無い。面白みには欠けるかもしれないが、確実に写すと言うファミリーカメラの基本を 押さえた良いカメラである。


☆楽しい作業を楽しめました。大いに写してください>Miyaさん


January 2015


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