KOMAMURA Convertible HORSEMAN(2)

   コンバーチブルホースマン、銀と黒塗装があるが、これは黒のタイプ。このカメラは過去の記事 で一度取り上げている。今回は暖さんから拝領し、じっくりテストしたので、改めて報告する。



以前の記事で触れた事だが、コンバーチブルということでいろいろシステム展開(仮)のベースがこの部分。というか、本質的には 前板部とごく薄い本体部しか市販されなかった。フイルムバックは69ホースマン用の流用だから、グラフレックス23、マミヤRB用 なども使えなくはないが、位置や取り付けが微妙にずれていて完璧は望めない。このスタイルで使うのがベストだろう。

 ベーシックフレームにワイドフレームを組み合わせた構成。スライドして分解できるが、交換すべきパーツは構想図にしかない。 スライド部はバネ入りで、モルト無しでしっかり遮光できている。鏡筒内部はリブ入りで内面反射対策がなされている。

 62oという微妙な焦点距離のレンズを考えれば、距離計無しの目測とフレームファインダーで実用はできるが、スナップではなく、 近距離に主要被写体を入れてじっくり写すなどにはピントグラスが必須だ。コンバーチブルとは、convert + able 、すなわち 改装(改造)と可能を意味する複合語で、そういう意味では永遠の未完成システムの単能機である。

 これをベースにより短焦点のレンズを選び、前板を作ってボーグの中判用ヘリコイドなどを入れるとか、後をRBの68ホルダー にして電動にするなど、コンバーチブル遊びのベースになる。予算がどっとあるのならハッセルなどの中判デジタルバックをつけて、 最新機器に変えるのも面白いのかも。ホースマンよりコンパクトというのが狙いかな。(可能かどうかは守備範囲ではないので 言ってみただけ)



 フレームファインダーを畳むとごくコンパクト。実際には厚みがあるし重さもあるのでそれほど小さくはない。手が小さいと 構えるのが面倒かもしれない。



 これが撮影状態。フレームファインダーは視野率が低いから、パララックスの心配は少ない。しっかり画面構成をするのはほぼ 無理で、日の丸構図でドスンと写すのが肝。ヒキブタの管理、シャッターセットは巻上げ連動しないなどは、この手のカメラを扱い 慣れていれば問題ない。シーソー式シャッターチャージ・シャッターレバーは動作が軽く扱いやすい。「フジペット69@高級」という 外観。



 トプコール62o。コントラストは現代物ほど高くないが、周辺落ちが少なくきちっとした解像力が魅力



 上から見ると厚さがわかる。手が小さいとシャッターを切る時やホールドの点で扱いにくい





●試写後に少しフレアーがあるのに気がついた。ざっと見て問題ないと思っていたレンズだが、後玉に少し曇りがある。順光では 気がつかない程度の曇りなので見落としていたのだ。分解するとレンズが全て磨けるので、曇りを清掃して組みなおした。

《試写》

 プレストにて実施(三枚目はT-MY100)







 ロックが緩くてホルダーが外れてしまったカット以外にはトラブルなし。そのカットの周りに光が引く事は無かった。切れ味鋭く 切り込むタイプではなく、軟調でハイライトもダーケストもきちんと調子を持つ感じだが、前述の通り後玉に曇りがあったので コントラストが低下している。このままでも許容範囲だが、完璧になったのでよりすっきり抜けるだろう。その辺りは勘案して 判断願いたい。いずれにせよ焼きやすいネガができる。2-3枚目の角は応急につけた35o用フードのケラレ

☆気楽に高品質のスナップができる。何も連動やフールプルーフがないが、本質的に故障が少なく、壊れても直せるカメラだ。 今回のテストでの失敗はロックが甘くてホルダーが外れ、未露光を1枚損じただけ。強いて言えば、慣れないT−MX100の現像が ちょっとムラですっきりさに欠けた事。一応使えるレベルではあったが専用現像液が必要なのを再認識した。

 今更だが、システム展開し、生き残ってデジバックまで頑張っていたらなどと妄想した。フイルム中判カメラが生き残るのは、 高品質デジパック装着しかないのは明らかだから。まあ35oタイプD-SLRの大進化を見ていると、製造を支える需要があるのか という命題が横たわっているのは確かだが。



 本気にはちょっと不安がありますが、使っていて楽しいカメラですね>暖さん


March 2015


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