YASHICA LYNX14(再)




フォレスターさんからシリーズの締めはリンクス14、固定レンズの距離計カメラ用としては最大級の大口径つき カメラだ。エレクトロ35直前のリンクスシリーズ最高級機である。距離計連動・追針式連動露出計などこの時代の標準的機能は もちろん装備している。しかし、何より45oF1.4の巨大なヤシノンがこのカメラを象徴する。

 完璧な個体なのでレストアは必要無い。リンクス14は過去に報告しているので今回はインプレッションを中心に報告する。 初回の報告はファイルナンバー29、 私のレストア初期のもの。10年以上前でネット環境が悪い頃だから写真が小さく評価しにくい。その後、幾多の名器を見てきた が、今も同じ印象を受けるか興味あり。

 このカメラと比肩するのは前回にお伝えしたマミヤ35Super Deluxなどか。F1.4と1.5は今の感覚だと同等だが、この時代には 台頭しつつあった一眼レフに対抗するために、大口径化が進んでいた。0.1刻みの実質には影響しにくい違いを争った。 もちろん大口径化はその前の時代から機種の差別化、価格設定の武器として連綿と続いていたのだが、このカメラ以降は 携帯性による小型化要求や内臓フラッシュの一般化で大口径競争は終焉する。この時代の先鋭的なレンズは、どのように 今の時代を切り取るだろうか。

 この後には、C35に代表されるコンパクトだが金属のEEカメラの時代が続き、次第にプラスチック化して巻上げから撮影と 巻き戻しまで自動化し、暗ければ勝手にフラッシュするタケノコズームの時代に続く。個人的に扱いたいのは金属まで。 プラスチックのものは耐久力に乏しく、性能がまだ悪く暗いズームでは興味を惹かれない。











 

《試写》

 モノクロよりカラーでヤシノンの真価が発揮されると考え、富士の業務用400にて実施



母校の体育館が改築で更地にされていた



 地味な自販機が地味に写った



 港にて。露出もピントも遠景と近景の中間にしたので、どちらも生きない。設定ミス



 蛍光灯と弱い外光だけの最接近。絞り開放の1/30秒



 夏の空

 文句なし。スキャン後にサイズ変更の他はほとんど調整していない。一枚目で赤が強すぎたので少し引いた程度。もちろん 彩度や明度など一切操作していない。深い発色はこのレンズの持ち味だ。ネガカラーでこれだから、リバーサルでは極めて 鮮やかになる。絞りを開いても劣化しないピントと相俟って、積極的に絞りを開いて対象を浮き上がらせても、絞り込んで パンフォーカスを狙っても期待に応える。

☆ヤシノンの良さは言うまでもないが、大きい割りに持ちやすく、操作しやすいのも美点だ。唯一、巻き上げレバーの 予備角がない固い印象だけは改善したい点か。重いので手ぶれしにくく、明るいレンズは暗い場面にも強い。

 惚れて使える名機だ


☆何も言う事はありません、ご愛用を>フォレスターさん


July 2015


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