日本光学 NIKOMAT



 ニコンではなく、日本光学のニコマートである。機械式35o一眼レフの典型の一つだろう。Kzさんから預かったものだが、スロー が怪しいのとファインダーのゴミが多い程度で、大きな問題は無い。



 同じニコマートと言う名でも、以前にテストしたFT3とは ずいぶん違って中は簡素。シャッターは同等だが露出計の作りが違っていること、外装はブラッシュアップされていないなど 60年代を感じるつくりだ。



 このあたりにスローガバナーやセルフタイマー、ミラー駆動部があるので、軽く清掃して薄めたオイルを少しつけた。これだけで スローもセルフもきちんと動くようになった。基本が機械式で壊れるところはほぼ無いから、潤滑だけで足りる。自分の宗旨に 合わないから35o一眼レフの作業はパス、一先ず使えれば良しとた。ニコマートはタフなカメラだからそれで十分。

 ファインダーのゴミはミラーのダンパーのモルトプレーンの劣化による。多少掃除はしたが、交換は簡単なのでオーナーに 任せた。ゴミがあっても写りに関係ないから、正直なところあまり気にならない。



 ニコマートはTTLで開放測光の露出計が最初からボディーに組み込まれている。ニコンFのガチャガチャとはちょっと違うが、 レンズマウントは共通なので写りに遜色は無い。



 私が初期に一番信頼したニッコール50oF2.0が付いていた。ニコンFでは廉価用だが、当時最高の標準レンズ(カメラ毎日レンズ テストによる)であり、見た目のバランスが良い。





 一般的アクセサリーシューが標準装備で、シャッターボタンは通常位置にある。いずれも特殊なFより使いやすい。







 ウラブタは普通の形式なので、Fと違ってフイルム交換など普通に出来る。マガジンには対応していない。

《試写》

 イルフォードFP4+にて









 遠近、静物人物、一通り写してみたが破綻は無い。撮影者の意図しない結果はほとんど無い。定評あるレンズの再確認をした。 全てカンなので露出計は使っていない。定点合致式はスナップではあまり使う必要が無いから。

☆長い間ニコマートをニコンFより下に見ていた。50年前の私はニコンFの使わない、使えない機能と神話に酔っていたのだ。当時の 私はミーハーで、あれこれ実用し比較して批判的にモノを見る目も金もなかったということだ。

 Fとニコマートをざっと比較すると、ファインダーとスクリーンの交換(+視野)・ウラブタ交換によるモータードライブと 超長巻対応程度だ。普通に使うには関係ない機能である。材質とか耐久性を言う向きもあるが、普通に使うのに問題とはならない。逆に フォトミックファインダーを艤装しなければTTLにならないFはパッケージングとコストで無駄をしている。縦と横のシャッター 駆動方向で生じるシンクロ速度差、シャッターボタン配置は明らかにFの負けである。

 よく使う機能に絞って確実に作られたニコマートは、この時代の最高の一眼レフの一台である。ニコンFの下でも上でもない 立派なカメラである。


☆今更ながら質実剛健、その実用性を再確認しました>Kzさん


November 2015


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