MAMIYA 6 P(前期)
マミヤ6P。時々見かけるタイプ。ツイッター経由の佳太郎さんの所有品。(過去に報告した
後期のもの)
レンズや外観がきれいなので入手。不調なシャッターは清掃すればといろいろトライしたが、どうにも起動しないのであきらめ
かけていた。それ程複雑なシャッターではないので、保障は出来ないが送ってみたらと提案したと言う次第。
到着したのを見ると、症状は以下の通り。「シャッターセットできるが、レリーズするとほんのわずか動いて止まる。
その時に羽根はロックされていて開けない。羽根の油はそれ程でもない」
しばらく眺めていて原因判明。黄色の部分、セルフタイマーのスタックでシャッターが起動したところで、オレンジ部分の
ストッパーが掛かっている。誰かがセルフタイマーレバーをいじり、スタックしたので放棄したのだろう。
機械式セルフタイマーには大きく二種類ある。一定時間後にシャッターを指の代わりに起動させるタイプ。これは一眼レフに
多い。起動ボタンを別に持ち、タイマー作動中でもレリーズできる。もう一つのタイプはセットするとシャッターを邪魔する
部品が割り込み、シャッターを開きかけ状態で待機し、その部品を一定時間後に直接、又はリンク経由で外してシャッターを
起動させるタイプだ。後者は独立したレリーズ部を持たないので部品点数が少なく、スペースがきついレンズシャッターに
使われる事が多い。今回のものは後者なので、作動のどこかで止まっているのだ。
原因がわかればセルフタイマーを無理やり戻せば何はともあれ動くはず。しかし、セットされたまま長い時間があったようで、
ちょっと押したくらいでは動かない。無理をするとレバーが変形する。そこで、ジャブジャブベンジンをかけて揺すったら、
やっと動き出した。動作するとシャッターのスローガバナーが固まり気味で引っかかる。セルフタイマーとガバナーをベンジン
で洗い、何度もカラ打ちしているうちに錆が取れて好調になった。念のためシャッター羽根を改めて清掃して完了。
ついでなので、ファインダー周りを清掃。そこそこ見やすくなった。距離計はずれていないし分離が良いので問題なし。
点検中にフイルムスプールを固定する部分が無いのを発見、これには平らなのとえぐりがあるのと二種類あるが、どちらも
手持ちにあったので交換できた。皮は似合うものが無いのでそのままにした。機能は回復しているから実用に問題なし。
皮が全体に寿命で、表面が擦り切れだしていたので、全体にウレタン塗料で強化、その他軽い錆落としなど規定作業を
して完了。翌日にはテスト撮影と現像確認をし、預かって三日で返送した。業者より速いだろう(笑)
レンズはコミナー75o3.5、廉価版用らしいが良いレンズだ。
フォーマットは66専用で、赤窓仕様
《試写》
コダックのTMY400にて実施
遠景から近景まで安定した描写。絞りを開いても強い収差を感じる事は無い。優秀なバランスだ。
☆Pはポピュレール、大衆機の意味らしい。距離計以外は全て連動などなし。無くても済む機能を省いてコストダウンした
ものだが、画質は妥協なし。文句ない明快な描写で、十分の性能がある。今となってはズレ易いセミーオートローディングより
赤窓の方が信頼できるとも言える。他の66タイプと比べ、大柄で懐が深いので内面反射の影響が少ない。
確かに皮やメッキの質はちょっと劣るが、機械としての性能は素晴しい。シャッターは1/300秒までだが、いわゆる
「使える最高速」なので1/500秒のものより実用には上回る。コンパータイプの1/500秒はエキストラのバネを使い、
「いつもより多く力をかけています」で無理に出している。しかもテストした中で1/400秒以上の値を出したものはほとんどない。
その下は1/250秒だから、常に使える1/300秒が勝ると言う理屈だ。75oだけの勝負ならnew MAMIYA 6と十分張り合える。
良いカメラだ。
☆ご愛用を>佳太郎さん
Sept 2016