YASHICAFLEX C
ヤシカフレックスのモデルCは以前に報告している。
今回はシャッター整備を依頼されたので、古い情報の更新を兼ねて追加報告する。
症状はスローガバナーの動きが悪いという軽いもので、普通なら前から簡単に開けるから、ベンジンで軽く洗い、
薄めた給油で回復する程度のものだが、あいにくダルマカバーを外さねばシャッターにアクセスできず、そのためには
皮を剥がさねばならない。
この外装の皮はこの時代の合成もので、硬化していてパリパリに割れる。再使用はほぼ不可能。皮の作り直しが
必要なので預かった。皮は材の入手・型取り・切り出し・貼り付けと手がかかり、いきなり複雑な二眼レフの
前板周りというのはビギナーには荷が重いだろう。リモコンアドバイスではもどかしい(笑)
皮を剥がし、ダルマカバーを外した。ダルマカバーは5本のネジで止っているだけだが、接着剤が邪魔することと、
矢印のセルフタイマーの駆動プレートの先端が邪魔するので、ネジを緩めて外してある。
この作業自体はそれ程でもないが、再組立の時にどのように連係しているかしっかり確認しておくのが必要だ。例えば
セルフタイマーレバーは前玉のバレルによって位置決めされている。絞り開放・シャッターはバルブの位置はそれぞれ
一番引き上げたところだが、実際の絞りはもう少し動くなど。慣れれば全く不明でも何とかするが、スムーズな
作業のためには記録が大事。
前玉を外すとやっとシャッターと対面できる。プロンタータイプなのでこの状態でテストできる。ただし、バルブの
キャンセルが効かないから、シャッターボタンを押すと起動し、シャッターが開いたところで止る。ここで手を
離すと最低速でスローガバナーが起動し、動作が完了する。
症状はガバナーの油切れなので給油した。一滴の油をフイルムケースのフタに取り、ベンジンをたっぷり入れて
使う。ベンジンが多いので上に差しても下まで簡単に廻る。この作用を利用してガバナーを外さずに給油できるが、
きちんと動くまで数回はシャッターを切る必要がある。また、羽根に油が廻り易いので、量や場所に注意するのは
言うまでもないだろう。
Aがスローガバナー、Bはセルフタイマー、Dがセットレバーで、BとDの間がシャッタへセットやバルブ動作を
管理する部分。給油で動作は快調になった。ついでにセルフタイマーにも給油して完了。
ついでなので各部を点検、ファインダー部は清掃した。多少のミラー劣化はあるが実用に問題なし。
皮は簡単に分解できるなら前板を外し、コピーやスキャナーでスキャンしてプリントし、それを型紙にする。
今回はビューレンズ側が外すのが面倒なので、アバウトで切り出して接着後に余分な部分を切り取る方法で対処した。
この方法は皮の扱いに慣れていないと案外難しいので詳しくは書かない。やる人は各自で研究されたい。
全体写真は撮り忘れたが、前回のファイルにあるのでそちらにて。
《試写》
アクロスにて実施。曇りから激しい雨になるあいにくの天候なので、作例は不足
開放・1/300秒 最接近
5.6の1/300秒
開放・1/100秒。急いだので後ピンでぶれた
急ぎかつ雨が降り始めて被写体のバリエーションが少ないが、中判らしいピントが合ったところのしっかり感と
柔らかいボケを感じた。晴れて400のフイルムならよりカチッとした画像になるのは間違いない。
ヤシカフレックスは初期型から完成度が高い。操作は平均的で安定している。突出したピントとかコントラストではなく、
ちょっと大判レンズ的な広い諧調で、大きくすればするほど迫力が増す。堅実で良いカメラである。以前の結果から
自然な色と彩度の高さがあるから、カラーでも安心だ。
☆安定したカメラです。ご愛用を>OYU_SAN
July 2017