皮ケースの製作を載せたら、反響あり。作って欲しいとの要望が多いが、あいにく仕事ではないので
お断りしている。結構手間隙かかるから自分の分で精一杯だ。そこで、「誰でもできる皮ケース」と言うことで
tips を掲載することにした。ただし、自己流なので本格的に作りたい方はどこかのクラフト教室にでも
通っていただきたい。私のは「使える」ことだけを目的にしているので自慢はガンコさだけだ。
【用具】
先に紹介したものを説明する
皮は極端に言えばなんでも良い。牛、豚など強度と適度な厚みがあればよい。私は皮手芸の店で、「ナイフの
シースに使える」と言うことで4−5mmの牛皮を使っている。あまり薄いのは強度が足りない。3.5ミリくらいから
上なら良いだろう。価格はさまざまだが、五−六台分で3000-5000円というところだ。単位はデシと言って、
10センチ四方を一単位としているが、現物で見るほうが早い。
切る道具。ほとんどなんでも使えるが、カッターナイフはちょっと使いにくい。できれば皮包丁が良い。
薄いものならハサミでも良い
叩く道具はいろいろに使う。この他に木槌やソフトハンマーもあったほうが良い。厚い皮では相当の
打撃力がいるから。
黒い棒は穴を打ち抜くためのパンチ、アルミ棒は鳩目などのカシメ用の工具。
これは鋲や鳩目を固定する台。パンチで穴をあけ、この台でカシメる。簡単な木の台なんかでも良いが、
丸い頭のものにはこれが必要だ。写真はホックが乗っている状態だ。
厚い皮に穴をあける菱型の錐。これは特に厚い皮用で、その他三目、四目のものや、薄い皮用の物もある。
常にきれいに光らせておかないと、厚い皮に打ち込むと抜けなくなる。手入れは1000番位のサンドペーパー
で磨き、薄く油を引いておくと良い。
皮針と麻糸。針は先端がとがりすぎていると引っかかるので、サンドペーパーで先を丸める。皮は縫うのでなく
糸を通して締めると考える。麻糸は蝋引きの物や蝋を後から付ける物がある。もちろん普通の糸でも使えるが、
強度と耐久性が絶対的に劣るので、できたらこれを使いたい。太さや色などさまざまだ。
ハンドミシン。これは比較的薄いものに向く。あらかじめ穴をあけなくても薄いものならこれで縫える。
私はもっぱら厚い皮を使うので、ほとん使っていない。
縫う場所を決めるチャコのようなもの。正式名は知らないが、縫うところに目安をつける。薄い皮ならこれだけで
穴があいてしまうが、ピッチがいろいろあるのでご注意を。
接着剤。あらかじめ貼り合せてから縫うのが普通だ。ゴム系で硬化後も弾力があるものが良い。専用は使いやすいが
高いので、もっぱらG17を使っている。
ミンクオイル。手入れにはこれが使いやすい。これは油分の補給なので、つけすぎると柔らかになってしまう。
この他に、艶と防水性を与えるものなどいろいろあるので、目的によって使い分ける。
【縫い方・八の字縫い】
縫うのはいろいろ方法がある。ごく普通のミシンや手縫いの方法も当然使える。しかし強度と耐久力はこ八の字縫い
が一番だ。独立した二本の糸が交差するので、非常に丈夫だから力のかかるものには向いている。
先ず縫い目を決める。写真ではチャコでやっているが、菱錐とピッチが合わない時は薄く鉛筆などで線を引き、
それに錐を合わせる。
錐を打ち込む。垂直に構えて打ち込まないと、裏側がとても乱雑になる。間違えて打ち込むと修整が大変なので、
なれる必要がある。
裏に少し先端がでる程度で止める。全て打ち込むと簡単に抜けなくなるので注意。
前の目に合わせて次々に打ち込む。皮が変形するので線がないとまっすぐにならない。これは練習あるのみ。
糸は両端に針をつけ、両側から縫い始める。
両方通ったら、しっかり締める。皮に食い込むくらいにしないと糸がこすれて切れる元になる。
最後の処理。できれば少し返し縫してから縛り、内側の糸を引くと縛り目が穴の中に入るので、きれいに
出来上がる。
【仕上げ】
完成したら水に軽く浸し、ウエットフォーミングする(別項参照)。
また、ハンコ状のものや薄い板などをハンマーなどで叩くと模様がつけられる。普通の模様は皮手芸の店に
いろいろあるが、必要なら板などに彫って自作すればオリジナルができる。
形が出来上がったら塗装するが、生成り(素材のまま)も意外に美しい。好みの問題だ。
私はもっぱらオイルステイン(木材用で可)を使って何度も塗り、アンティークな感じを出している。
角は濡らした時に歯ブラシの裏側などでこすると目が詰まって固くきれいになる。ここにオイルを刷り込むのも
良い仕上げかただ。また、専用の「コバコート」等を使っても良い。
疑問があればメールか掲示板にて説明します。書き込んでください。