露出計の使い方2

 リバーサルで撮影する場合、露出の決定はとても重要だ。露光とポジ(ネガ)濃度の関係は、現代の一般的リバーサルでは ±2.5から3EV程度、つまり一番暗いところから明るいところまでの明るさの差が5−6EV程度である。言い換えれば、 18%標準反射板を適正濃度にするとして、上下に各2−2.5絞りの範囲の明るさが写せる範囲で、それ以上明るくても暗くても 濃度は変わらない、つまり画像が出ない(飛ぶ・つぶれる)ことになる。

ここで言うEVとはイクスポージャーバリューのことで、ISO100のフイルムで換算した明るさを示す。

  EVは対数なので、1違えば光の強さは2倍になるのだが、難しい話は止めにして、簡単に言うと、絞りまたはシャッター (倍数系列の場合)一段にあたる。昼間の戸外が明るいときには15EV、曇っていると12EV程度が日本では普通だろう。

以下の画像で具体的な明るさを示してみよう。



@は土の黒い所で12、AとBとCは13、Dは14EVだった。Dに関しては雲に合わせると15を越える部分もある。 入射光で平均を測定すると、15EVであった。
撮影としては、全画面で平均的に写すとすると、空の色を重視すれば15である。これだと黒い土の調子はほとんど出ないことになる。 14だと空も土もラティテュードに入り、諧調が表現できる。このように広い景色の場合、入射光で少し抑えた数字が常識的な露出データと 考えて良いだろう。

 ネガカラーやモノクロなら、こんなに大げさに測らなくても、カメラの箱に書いてある数字で十分である。その数字は順光の被写体なので 斜めでは半絞り、逆光なら1−2誌彫り増やす方法で間に合う。特にネガカラーなら、オーバーに対して実用的に4EV近くあるので (焼きによるフォローもあるので)それほど神経質になる必要は無い。




定番の富士山で輝度差がある景色を用意してみた。

@は12EV、暗いところを測ればもっと低い。Aが15、Bは14EVである。これは順光なのでこの程度の差であるが、 朝や夕方では輝度差は6段を楽に越えてしまう。

この時には迷わずAを標準として考える。雪の明るさを強調したい場合、@などを黒く落としてしまうためにはAが適正になる様に設定する。 主題が適正露光なら他は全てアンダーでも写真として成立する。平均的に撮ろうとすると、雪の諧調が無くなって、インパクトが なくなってしまうからだ。手持ちの場合、アンダーにすることはシャッター速度も稼げるのでより有利である。

 もちろん段階露光をしておくに越したことはない。朝夕は測っている間にも明るさが変化するので、ワンカットで抑えるというのは不可能 だろう。




非常に輝度差がある場合の例、@は12、Aは9、Bは14でCは23である。
光の反射は太陽の明るさに近く、これを適正露光すれば周りは真っ黒と言うことになってしまう。無視して全体を現したければBを基準とし、 光を強調して象徴的に映すのならBがぎりぎり範囲に入る16EV程度が狙いか。



 作例は全てコンパクトデジカメで、最後のカットはわざとアウトフォーカスにした。克明にするとCがわかりにくいためである。


テストに試用したのはセコニック・L−398と、ペンタックス・デジタルスポットメーターである。



☆数値はあくまで参考用、各自の露出計で実際に測って写していただきたい。



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