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大判用レンズシャッターの開き方
単純明快な大判(一部の中判)カメラで故障するとすればシャッターだけだろう。その他は故障するというより、蛇腹のピンホールとか、スタンダードのガタ発生、フイルムゲート部の磨耗や損傷で、故障ではなく修復の類だから、修繕である。機械故障はシャッターのみだと言えよう。
レンズシャッターの構造は基本的にセットリングを持つコンパータイプか、オウムのクチバシ部品のトグル動作を持つプロンタータイプに大別されるが、大きいシャッターのほとんどはコンパータイプか、自社独特のもの(コダック・ボールベアリングシャッターなど)である。
これらを開いて清掃したいというのはよくあることで、コンパータイプを例に分解方法を示す。
その他のシャッターの構造などについては別項「レンズシャッター備忘録」に掲載
《Comper Rapid》
コンパー代表のアンギュロン90o、ちょっと古いレンズの典型だ。
前玉をひねって外す。黄色の印のところに典型的なロックがある。半回転すると切り欠きが合い、ふた部分を左に廻すことが出来る。これをフリクションで約15度反時計回りに廻すと、下ろの調速リング(シャッター速度設定リング)とともに外せる。
このようになるとはずれる。
分解完了。こうなればスローガバナー清掃など簡単である。ただし、この時にシャッター速度位置のクリック感を出すためのボールとか、小さなバネなど機種によっては同時に外れて来る。分解する時は静かに作業し、部品を飛ばさずに元あった位置などは記憶・記録しないと組立が大変なことになる。
機種によって異なるが、最低この二箇所程度はリングの溝に引っ掛ける必要がある。従って、リングを載せるだけではダメで、静かに動作を確認しながら慎重に組むこと。力技は厳禁だ。リングを押さえながら回転させ、横から見て隙間なくすっきり動くのが大事である。ここが上手く組めないとふたは絶対に入らない。(色々な機種で経験を積めば、大体わかるようになるが、最初は特に慎重に観察しながら行うこと)
《コパルNo.0》
もう少し大きいタイプ、コパルNo.0シャッターを積むシュナイダーのシロナー150mm、ホースマンなどに良く使われている。No.3まではほぼ同じだが、No.5は特別大きく、分解も内部も異なるが寄り簡単だ。マミヤプレスのレンズシャッターも基本は大判レンズなので似ている。ただし、シャッター駆動形式は独特で、コンパー・プロンター折衷タイプである。
0番から上ではこのロックが多い。ドライバーで半回転させてフリーにし、花形リングを緩めるタイプだ。
開く時にフタ部のみ外し、黄色いサイン部などの連携を見ておく方が良い。機種ごとに掛け方が異なるから、観察は大事だ。このシャッターでは印のところがフタの回転を止めるロックピンで、これにはまらないとふたがくるくる動いてしまう。
連携はこの二箇所である。組立時にはリングを回転させてこれらがリングの動きにつれて移動するようにしてから組む。
部品点数は極めて少ないが、組立時に以外にコツがいる。急がず無理せず慎重に良く観察して記録を撮って行う・・・シャッターに限らないことだが。