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シャッターテスターのテスト集

前回に報告したKINAさん設計・提供・製作指導のシャッターテスターで色々なカメラを調べた。興味深い結果が出ているので報告する。

《単速シャッター各種』



ボックスカメラの単速シャッター(もしくはバルブつきの二速シャッター)はほとんどが一枚羽で、通称ギロチンタイプである。これらはスプリング取り付け部がシャッターレバーの動きにつれてテンションを高め、限界に来るとその力でシャッターを切るものだ。このヘアースプリングを強くすれば、速度は上がる理屈だが、これらが多用された時代のフイルム感度から、それほどの速度は設定されていない。1/30-1/50秒なので、手ぶれ注意レベルである。
それに対して、比較的新しい機種では速度が高いのは、フイルム感度の点から納得行く。いずれも速度のバラツキが少なく、安定していて、このタイプのシャッターが原始的であてにならないと言うのは根拠が無いと見た。

《コンパクトカメラ》



いわゆる35mmのコンパクトカメラはプログラムEEのものが多い。これらはシャッター速度が示されていないので、計測は現状では意味を成さない。正確な光を与えてプログラム通りか否かを調べねばならない。
今回は見本として、完全機械式のチャイカUにて行ってみた。結果は非常に精度が高く、名目速度を信用して撮影しても問題がないとわかった。非常に独特のシャッターだが、形式で判断してはいけない好例だろう。

《二眼レフ》



自社製(?)の簡単なシャッターを搭載したものだが、意外に結果が良い。簡単な構造で最高速をがんばらないと、精度が保ちやすいのだろうか。ただし、最高速は各部のヘタリがはっきり出るところで、1/100秒と言うのが正味だろう

シャッターと言えば、デッケルを忘れるわけにはいかない。新旧コンパーはドイツの高級機に使われ、代表的シャッターとして君臨した。多くの模倣品は自らコンパータイプを謳ったものだ。



これはバルブとタイムはセットが不要の旧コンパーである。安定しているが全体に遅い。少し引っかかりのあるものではなく、見かけ上は好調のものなのだが、こんなものなのだろうか。



それでは新コンパーはどうか。ローライコード3と以前から使っているローライコード2で比較してみた。

この実験の途中でコード3の中高速がおかしくなってしまった。開いたままになったり、T/125秒が数秒間開いていたり、でたらめで使い物にならない。一時中断して、整備をした。

かろうじてデータが取れた最高速では、整備前後の比較が出来た。明らかに改善し安定したが、この速度は何とも遅い。
対して、以前に大修理して使っているコード2は良い。T/100秒が早いのはさておき、最高速が真面目に出ている。いい加減な1/500秒よりましなくらいだ。



《感想》

正直な感想として、古いレンズシャッターは、速い速度は出ていない。普通に動いていると感じたシャッターも、整備すれば改善する。つまり古いものは整備が必須であると言うのははっきり確認できた。

もちろんこの計測方法が完全だとは言えない。テスターは非常に敏感かつ正確に作動しているが、機械が計測した値がシャッター速度そのものであるのか否か、私にはわからない。光のどこからどこまでをシャッター速度として捕らえるのかについて、テストごとにどのくらいの光の強さからカウントしているかが私の計測方法では正確に言えないからだ。

しかし、1/10000秒の違いを感知する装置であり、計測した時間にシャッターがシャッターテスターに光を与えていたというのは間違いない。この機械で色々なシャッターを測れば、それぞれの動作の違いははっきりわかる。整備後に改善した度合いも数値でわかる。これは大きなメリットだと思う。

今回のテストにフォーカルプレーン機は入っていない。反応速度としては対応するのだが、測定のためには無限に近く細いスリットか、二個のフォトダイオードで波形を調べないと何とも言いがたい。準備が出来ていない機械でのデータは誤解の元なので控える。



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