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C.P.Gorz Apochromat ARTAR 12in F:8
ドイツのゲルツ(本来はoウムラウト)の名玉として名高い大判用アーター(レッド ドット アーター)をテストした。
旧知の Photographer noBuさんから借りたのだ。
ゲルツは20世紀初頭に多くの名レンズを輩出させたメーカーで、ツァイス・イコンに統合されて消えたが、ブランドとしては
戦後までその名を留めている。いずれもクリアーな描写、小柄なのに極めて大きいイメージサークルを誇る典型的なバレルレンズ
で勇名を今に伝える。ツァイス・イコンに統合されるまでに、アンシュツ・アンゴー、テナックス、ボックステンゴールなどの名機
を送り出し、レンズではセロール、ダゴール、ドグマー、ハイパーゴン、そして後のアーターや映画用など名レンズの元となった。
私の母の最初の愛機は「ギョルツ(昔の日本での呼び方)のスプリングカメラ」だそうだが、大叔父とともに戦乱に消えたので、
どんな機種だったかわからない。
このレンズにはちょっと絞りの不具合があり、全分解してレンズ名は伏せて以前に報告している。
フルネームにアポとある。12インチは約300oだから8×10の標準レンズとしてちょうど良い。今回は4×5でテストしたから
レンズとしては中心部の利用で余裕ありだ。
絞りは90まである。そこまで絞り込めばリーフシャッターも必要なく、レンズキャップ開閉で十分使えたことだろう。手前側の
リングは差し込み絞りやフィルターの入り口を開閉するためにあり、プリセットリングではない。
現代のフイルムではレンズキャップでシャッター代用するのは無理だから、シャネル5番シャッターに組み込む。座金はないから
直径を合わせてはめ込むためにビニールテープで養生してゴムを巻いた。
セット完了。ゴムがシャネル5番のセットネジに食い込み、外れる恐れは無い。レンズボードはリトレックビュー用。バレルの
12インチは長焦点レンズで望遠タイプではなく、無限遠はきっちり30cmあるからスピグラでは使えない。手持ちはあきらめ
た。
《試写》
カメラはリトレックビュー、フイルムはネオパン・アクロス100
クリアーだがどこか変だ。よくよく見たら・・・ダブルイメージだった。なんと同じ日の富士山を茶畑から写したものと港から
写したものが重なっている。ほとんど富士山の位置が同じ構図なのでちょっと甘いかななんて思ったのだがとんでもない。
凄まじいピントが来ているので恥を偲んで掲載した。
ピント位置はわざと手前に取った。絞りは11だが被写界深度が非常に浅い。
激しい逆光で見誤り、ピント位置が手前にずれた。フードなどハレ切りは一切していない。
☆凄いレンズだ。数カット写しただけではとても全てを引き出せない。使いこなすには自分のものにして、何度も絞り効果や
トーンの特性、ピント位置などを学ばなければならない。この程度の経験でこのレンズを語るのは控える。
☆nobuさん貴重なものをありがとうございます。とても使いこなせませんが、それでも楽しませていただきました。
January 2013