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ウナギタレ現像


 
 現像にはその薬を指定の温度や時間通りに使う標準現像の他に、希釈して使い捨てで高解像度を狙う希釈現像があり、 1対1のデータを公表している現像薬さえある。ほとんどの方がこれらの方法で現像している。

 ここで言う「ウナギタレ現像」には正式名称はない。実施している人が勝手に名乗っている方法だ。方式としては 継ぎ足し現像とでも言えよう。

 なぜその方法を用いるか、端的に言うと「強い現像薬を少し疲労させ、少し軟調で高精細度を狙う」ためだ。少し弱った 現像薬は一般には時間延長で対応する。繰り返し使っていると次第にネガ濃度が落ち、軟調化するが、温度や時間を 変えなければ粒状性は少し改善する。この状態で使って傷んだ分だけ補充する方法が昔からある。特に大型の深タンク では全体を一度に交換すると結果が大きく変わってしまうので、D-76ならD-76Rなどの補充用の現像薬を継ぎ足して 長期間交換せずに使っていた。

 長期間追加補充を繰り返すと、薬が現像力は弱いが安定した状態になり、使い易い。また、運用コストも低くなる。 これがウナギタレ現像だ。私はD-76で20年、SPDにしてから15年ほどこの方法を続けていて、トラブルは無い。

☆具体例(1リットルで運用の場合)

 SPDを二倍の濃度で溶く(例・5リットル用を2.5リットルに溶く)、このうち0.5リットルを水で薄めて1リットルとし、 運用開始。135の36枚撮り、120を一本現像するごとに補充液15ml(現液換算で30ml)を追加する。複数の時はそれなりに 補充量を増やす。以下これを続けるが、季節によっては現像力がこれでは足りなくなるので、適宜全体の1/3程度を 交換する。



☆現像時間はメーカーの標準タイムから1-2割増し程度が平均的。大体だが4-5分程度(22℃・感度の増減なしで)

 以上が基本だが、私は一回ごとの追加は面倒なので、ネガ濃度がちょっと落ちてきたと感じたら、500ml程度の新液を 準備し、古いものを濾紙で漉しながら口いっぱいまで注ぎ込む。これによってタンクが常に満杯になり、空気との接触を 最小限に出来るから傷み難くなる。この時に、銀が付着して汚れた保存タンクを洗浄する。


 私の場合はこれに低温現像を組み合わせている。これらによって120の空のムラが避けられ、 粒状性が良いのですっきり上る。狙いは、粒状性・軽い軟調・時間を長くしてムラの防止・など


☆あくまで個人のデータなので、実施は自己責任にてされたい。


Apr 2017


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