RICOH CADDY>


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「ご存じのようにこの3群4枚レンズは富岡光学の傑作で、後のリコーレンズの礎になっています。
この後リコーオートハーフにも採用され、35mmフルサイズにスケールアップされて S−コミナーにもなったレンズですね。栴檀は双葉より芳」

CADDYのオーナーで、カメラ仲間のMADAMさん(♂)の言葉である。ご存知どころか、およそレンズの薀蓄を知らない私には始めて聞くことだ。しかし、「リコーに外れなし(Range Finder 友の会・笑)」の格言がある。



25oF2.8、レンズ名は記載されていないが、とてもきれいなレンズだ。



お借りしたついでに整備した。シャッターリングと絞りリングが非常に固いのは、単にリング類の油切れであった。これはシリコンで解決した。可動部には給油したが、ファインダーが暗く曇っているのと、巻き戻しレバーが不調なので軍艦部を分解した。



分解に特に難しいところは無い。巻き戻しレバーは根元にある抜け止めネジを外せば分解でき、その下の2本と横のネジであっさり分解できた。巻き戻しは単なる油切れだった。



ファインダーを分解するにはアクセサリーシューの3本と、固定用(露出計も含む)8本、それにファインダーカバーの4本のネジを外す必要がある。実に丁寧なつくりだが、整備性はあまり良いとは言えない。これほど頑固なファインダーは初めてだ。
ファインダーは簡易なアルバダ式ではなく、しっかりした採光窓とハーフミラーを持つ高級な仕様だ。それが災いしてファインダーが汚れる部分が多い。各レンズとハーフミラーを磨いて視野はきれいになったが、ハーフミラーの蒸着が薄くなってしまった。距離計が無いからまあ良いか。



底はシンプルでわかりやすい仕掛けだった。ここの整備性はとても良い。注油で快適な巻上げに変身した。

唯一ともいえる欠点は、操作部分の小ささだ。絞りとシャッターの変更は、よほど指が細く無いとうまく行かない。感度変更ダイヤルの数字はルーペが無いと良く見えないのに、簡単にくるくる回ってしまう。自分のものなら取っ手とストッパーをつけてしまいたくなる。

《試写》



スケッチする人たち。ピントは電動自転車のかごに合わせた。



日差しが非常に強い激しいコントラストだが、ちゃんと表情が写った。



陰に明るさをあわせた。完全マニュアルなのでこういうことが簡単にできる。



海岸沿いのプレジャーボートの倉庫。目測が合えば絞りを比較的開いていてもピントはしっかりしている・天候は雨交じりの曇り。



私のつれづれ日記をごらんの方にはおなじみの光景。シャッターを押すことよりカメラの保護を優先したので手ブレしている。このカットのみアンシャープマスクを弱く掛けている。

非常にコンパクトでポケットにも入れられるほど小さいカメラだが、レンズは本気で作られたことが良くわかった。画像に曖昧さがない。トーンを飛ばしてくっきり感を演出するのではない本物の諧調を出すレンズだ。モノクロを四つ切に延ばすのに十分な力があると思う。
超ベテランの学生時代からの愛器は今も健在だ。

以前、このカメラのジャンクをいただいているのだが、残念ながらシャッターが直らない。そのまま棚にさらしていたので、もう一度点検してダメとわかった。
思い出が一杯詰ったこのカメラはお返しし、気長に直せそうなものを探そうと思う。

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