MINOLTA REPO (Otonyan氏)の整備
「レポのピントが合わない、後玉の汚れが取れない」とOtonyan氏からテスト依頼されたので、レポなら慣れているからと引き受けた。
レポは以前にSと共に報告しているが、単独記事はこちら
ピントグラスでざっと見たら激しく狂っている。前の持ち主が痛めているので、ピントリングのイモネジが廻しにくいという話なので、先ずは分解してみた。
軍艦部を開けてなんか変だなと思ったら、矢印の所、シャッターレバーのリンクが曲がっている。これは自然故障ではありえない。組む時にシャッターボタンの位置が合わないのに無理やり締めこんだので曲がってしまったのだろう。これはスキルが低い誰かが開いて、どうとも行かないからいい加減に組んで売り抜けたものだろうと思った。
下回りはオイル切れだけで問題なし。
この状態で後玉を見た。カビ痕と言うより硬いものでつついた後のような傷があり、コーティングが痛んでいた。これも素人分解の結果だろう。一応差し支えない程度にはなったが、どうもすっきりしないので、手持ちと交換することにした。
前板を分解しないと後玉にアクセスできない。その代りにファインダーを外し、前板のネジ4本を外せば簡単に分解できる。引っかかるのはバネ一本だけで、極めて整備性が良い。
これで後から整備できる。
手持ちのレンズと比較し、前後とも手持ちの物を使うことにした。シャッターも整備済みの手持ちの方を使って組む。
☆この後、仮組みでピント調整をしたが、どうもすっきりしない。ショートフイルムのテストだとボケっぽい。どこにピントがあるかわからない。
これでは使えない・・・・・・・
調べたりネットで質問したりしているうちにふと考え付いた。「このレンズは三群構成のはず。何で前玉がワンブロックなんだ?」。わかってみれば簡単だった。前玉と中玉の間、つまりヘリコイドが固着して、ピント合せのつもりで中玉のネジを廻していたのだった。
前玉回転式ではママある事だが、ハーフの小さな前玉で見落としていた。前玉はきつく捻じ込まれていたが、渾身のジジイパワーでツールを使わずに緩められた。後は清掃・グリスアップ・ピント再調整にて完了。
懸案は全て解決。4倍のルーペでもピントの山がある程度わかるようになった。およそに合せ、精密合せは実写確認にする。(ハーフの30o2.8のレンズはピントの山が非常にわかりにくい。無限遠では位置が出しにくいから、3メートル程度で合せる方が現実的)
念のため各部を清掃して組み上げ、テスト撮影を行いすぐに現像した。(掲載している写真は全て Lucky SHD 100 を200設定で撮影)
開放で確認するため、室内で1-2-3メートルに目標を置いて調べる。きちんと設定距離で焦点が合っている。拡大すると扇風機の細いガードがきちんと見分けられるから立派なものだ。
遠距離と10メートルの確認。遠景の家は霧がかかっているが、それもコントラストとして現れているから良い。
あいにくの曇り空と霧、近距離でもきちんと出ている。
☆ということで、助っ人完了。時々光漏れがあるが、そのくらいはオーナーの楽しみとして送り返した。
外観は以前の報告と変わらないので省略した。
☆Otonyanさん、楽しく遊べました。良いカメラなのでどんどん使ってください
July 2012