MINOLTA α303si(再+)
ミノルタαシリーズ最後は 303si 。このシリーズの中級機でごく標準的なAFカメラ。
組み合わせたのは以前から持っていて、ファインダーが黄色くなって部品取り用に降格した同形機
のガンメタ(当機はブラック)と、それにについていた、35-70o1:4。これがもともとのセット用かどうかわからないが、
以前にちょっと使って、意外にしっかりしていると評価して・・と思ったらそちらはシグマのものだった。このレンズがどこから来たか、
何に使っていたものかわからないが、デザイン的に合うのでこれでテストしてみた。
この組み合わせは色とデサインが揃い、手動ズームなのでXiシリーズと比べて違和感がない。この点は撮影時に重要だ。
操作が気になるとシャッターチャンスを逃してしまうし、手ブレのもとにもなりうる。
マウントはプラスチックだが、特に強度不足という感じはない。この手のカメラで頻繁にレンズ交換をすることは
無いだろうから、軽いことはメリットだ。ペンタ部には内蔵フラッシュが組み込まれている。
レンズ交換ボタンやフラッシュ起動スイッチなど標準的な装備。グリップに崩壊するラバーが無いので外観正常。
液晶で設定や枚数を確認するのはミノルタ共通仕様。感度設定は無いが、露出の増減ができ、電源を落としても
変わらないので実質的に感度変更できる。
背面などは共通仕様
35-70oを上から見ると、距離指標は35と70の2つになっている。完全な目測には不利だが、置きピンには困らない。
実は、送っていただいた一台目はミラーに組み込まれている露出計受光部が壊れていて、それが画面を覆ってこのようになった。
播磨屋さんにお知らせしたら、何とスペアが送られてきた。以下の試写はスペア機による。
《試写》
試写はフジの業務用400にて。期限切れかつ現像が浅いので、粒状性や発色は参考まで。
全てPモード、AFにて写している。露出補正など一切していない。ピント位置や明瞭さに問題なし。
☆《αシリーズ総括というか、私的薀蓄》
α7xi
α3xi
αsweet S
α303si (本稿)
ミノルタの最後の世代の銀塩カメラは、AE・AFのX7がその一番手だろう。以後、αシリーズとしていろいろに進化した。
銀塩最後の時代に、その最高性能を各社と争ったが、方向性は「より撮影を簡単にする」にスポットが当たったものだ。
普及機のスイートシリーズは望めば多少のモード変更はあるが、ほとんどの人がPモードで使っていた。この303siも同様だ。
7-9xiに代表される高価格機は、距離に応じて勝手にズーミングなど、今考えると不要もしくは邪魔な方向に進化したアダ花だ。
また、もともとの絞り優先、シャッター優先などとは別に、いろいろな設定を専用カードとして用意し、それを差し替えることで
特殊撮影に備えた。一種のプログラミングによる特化を行っていたが、一部マニアを除いて成功したとは言い難い。そんなことより
高速AF、レンズの小型化と大口径化、重量軽減、手ブレ補正、耐候性の向上などを目指す正常進化をして欲しかった。
−−−−−−−−−− 今回三機種を次々に使うことで見えたのはこんなところ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
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この結果から、私にとってのベストは 303si だ。軽くて気楽に持ち出せる。レンズによる視覚効果の写真は私にはいらない。
35-70は「私にはこう見えた」という「目の代理」として、注視野からぼーっと認識している世界まで過不足なくまとめてくれる。
AFが遅いし空を飛ぶ鳥などは追えないからMFで運用するのだが、これが十分実用になる。αsweetSもほぼ同機能だが、
手持ちは既にファインダー全面が黄色になってしまい、運用出来ないので本稿では詳述できない。
xi シリーズが勝るのは感度設定や金属マウント、高速なシャッター程度で、パワーズームは不要というより邪魔だ。
電池がどんどん消耗するのも馬鹿馬鹿しい。ただし、ファインダーは廉価版より明らかに優れているので、崩壊するグリップ部を
メンテしていれば、実質的な寿命は長いだろう。
ともあれαシリーズは全て普通に使える。画質も良い。このまま不人気のジャンクとして消し去るのは偲び難い。しかし、
グリップ崩壊やファインダー変色などで、実質的に残された時間は少ない。日本の高度な工業製品がこのような末路に瀕している。
無念だがこれも世の常か・・・
☆このテストを実現させてくれた播磨屋さんに謹んで御礼申し上げる。ありがとうございました。
☆Xiシリーズより遥かに軽く、簡単明瞭なやつですね>播磨屋さん
Nov 2016